5月19日-21日で開催されたえんげき屋山口店企画「週末生鮮祭ウィークエンドえんげきフェア」のもようをレポートします。
19日18:00ーチームが初めて顔合わせ
短期間の中で演劇をつくるのは、時間との闘い。
わいわいとアイスブレイクしたあと、早速チームに分かれて台本読み、それから台本について話していきます。
短期間の中で演劇をつくるのは、時間との闘い。「とおくのくにの」の登場人物たちがいる場所はどんなところ? 何者なんだろう。これから作るにあたってこんなことを試してみたい、など話は盛り上がります。
まずは役決め。
Aチームは、登場人物の関係性や年齢を考えた後、合う配役を話し合って決めました。本番の21日にいない富山さんをどの役にして、どう演出に活かすかが重要な課題でした。
Bチームは、自分のやりたい役を2つずつあげ、役決めしました。「霊能力者になりたい」「こっちのほうが難しそうだからやりたい」など理由は個性的。普段は、誰かに決められることが多い役者です、こういう機会だからこそ。
20日10:00-18:00 この日は、1日制作・稽古。
お互いの関係性や状況による、話し方や立ち振る舞いの微妙な変化を探って掴んでいくように
Aチームは、まずは宇部高校演劇部の富山さん主導の発声練習から始まりました。高校生が普段どんな風に練習をしているのかを、社会人の細田さんと堀池さんが体験。
その後は、舞台の形や設定、道具の話し合い、そして富山さんの存在をどう舞台に活かすかを話し合いました。最終的に、富山さんは録音した音声で出演。いるはずなのに、目の前にいないという不思議で切ない設定となりました。
午後からは、インプロのワークで体と頭をほぐしてからスタート。特に高校生の二人は、小さな舞台でお芝居するのは初めてだったので、余分な力を抜く練習をしました。その後は、1ページごとに止めながらの立ち練習。その間、えんげき屋さんは小道具の買い出しで走り回っていました。Aチームの演技づくりは、お互いの関係性や状況による、話し方や立ち振る舞いの微妙な変化を探って掴んでいくようなやり方でした。「この言葉を聞いて、どんな気持ちになった?」「この言葉を言おうと思ったのはいつ?」などの質問をお互いに投げかけて、セリフ一つ一つの意図を考えて練習していました。
最後に、音響と照明、衣装の話し合いをして一日を終えました。富山さんは少し居残りで録音。一人だけ早めの本番を迎え、無事に撮り終わりました。
様々なパターンを実際にやってみて、これは感覚的に違うなと確かめたりしている工夫
Bチームは、まずは宿題にしていた自分の役の設定や関係性を発表しあい、どうしてそう思うか台本の中から読み解きながら、共有。スタジオ内にあるもので舞台をつくってみて、広さやここに机があったほうがいいな、と動きながら考えていきます。試行錯誤しながら、ここからのぞけるけど、何が見える? 登場人物たちが見ているものは何だろう? 第一弾の形が決定。
お昼から別府さんが合流。舞台で実際に動いてみながら、お互いにダメ出しし合いながら連携を深めていきます。様々なパターンを実際にやってみて、これは感覚的に違うなと確かめたりしている工夫があります。
Bチームは忌憚なくお互いがダメ出ししているのがおもしろいです。真島「さっきはもっと強く来てもらったほうがよかったな」と言えば、澤「真島さんさっきのとこ笑ってましたよ」と言う。役者でありながら、自分のことだけでなく、一緒に立つ相手のことも動きや感情をよく見ておかなければなりません。大変大変!
舞台上に出す小道具についてはなかなか意見がまとまらず、紆余曲折ありつつ天使のレリーフに決定。明日の本番に向けて、台本覚えもぬかりありません。
21日10:00-15:00 制作・稽古
ぎりぎりまで、裏方の調整や演技についての調整が続きます。
Bチームは、八木先輩がチームに指示を出していたり、砂の処理をどうするか。音響機器の不備にパニック!なえんげき屋さん。
Aチームは、まずは西京高校演劇部、秀悟さん主導の発声練習。その後はとにかく繰り返し通し練習をしました。えんげき屋さんも、富山さんのセリフのタイミングを繰り返し確認。同時に小道具の準備に大忙しでした…!
18:00-本番 作品発表会
お客さんを入れてBチーム→Aチームの順で上演します。
15分くらいの脚本、見え方が違う舞台や脚本の解釈が非常におもしろい。
簡単にいうとあらすじですらこんな感じにバラエティが!
Bチーム 舞台は潜水艦の中。男たちは敵の港を監視している。船に動きがないか何年も何年も……。ある日自ら前線に向かった仲間・庵野のことを思い出している……。
Aチーム 何年も戦況が変わらず、マンネリとしてきた戦時中の見張り場。男たちは、壁で仕切られた個室の中で見張り番の仕事をしている。一部屋だけ、誰かがいたであろう02番の空室……。ある日、通信機器の故障をきっかけに、02番の仲間の思いに触れる。
上演後は、お客さんたちを交えて感想や意見交換会、反省会。
とにかく店長はこの時間がとってもうれしかったんです! 演者も含めて、お客さんと直接こんなにたくさんフラットな環境で演劇について語り合えるなんて!!
45分くらいみんな盛り上がってしまって、もうお帰りの時間です!と声をかけて帰っていただかなくてはならないほど――本当に素敵な時間でした。
企画立案者:井上みこと 全体の感想
「週末生鮮祭」とても楽しい2日半でした!
舞台や登場人物の設定を考えることと、台詞の意図を汲み取ってそれが伝わる演技を考えることが、演劇づくりで大変なことであり、面白いところだと思っています。その過程を間近で見れたのがとても楽しかったです。
高校生と社会人とでは、演じる舞台も観る舞台も違うため、双方が納得いく作品が出来るのかが少し心配でしたが、両チームとも全員が意見を出し合って面白い作品をつくりあげる事が出来ていました。
「高校演劇と社会人演劇は全くの別物だ」というようなことを聞いたことがあります。確かに、高校演劇は大きなホールでの舞台で、(私たちが普段やっている)社会人演劇は小劇場での舞台という違いがあります。舞台のサイズが違うと、演技や演出の見せ方も変わってきます。私はAチームの練習に参加していましたが、やはり読み合わせの段階でも、この二つの違いが明確だなと感じていました。この違いが、最終的に舞台でどうなるのかを興味深く見ていました。
本番を見ると、Aチームは高校演劇らしさと社会人演劇らしさがどちらも現れ、Bチームは高校生と社会人の境が無くなった作品になっているように感じました。これも両チームで違う結果に…!どちらも、それぞれの役者さんの良さが出ていて、とても面白かったです!
今まで、山口市ではなかなか関わることの無かった高校演劇と社会人演劇の役者さんたち。
彼らの距離感が、「週末生鮮祭 ウィークエンドえんげきフェア」を機に少しでも縮まっていたら嬉しいです!
また何か、高校生×社会人の企画を考えようと思います!!
今回のえんげき屋さん企画「週末生鮮祭 ウィークエンドえんげきフェア」にご参加いただいた高校生のみなさん、社会人のみなさん、本当にありがとうございました。そして、21日の本番にご来場いただき、たくさんお話してくださったみなさんに心から感謝申し上げます。
またこれからも オモシロ企画を考えていきますよ!
ぜひぜひ今後の活動もお楽しみに!
えんげき屋さん 井上と宮﨑よりレポートでした!
えんげき屋山口店企画「週末生鮮祭」企画内容はこちら▼
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