演劇ユニット・石ころ インタビュー 前半

裏レポ!

「裏レポ!」では、公演を控えている団体に事前に取材し、その魅力をフォーカスして紹介。本番を見るだけでは伝わらないその裏の物語や作品制作への想いを、まずは私たちが知りたい!そして団体・人にまつわるストーリーを介して多くの方に興味を持ってもらえるような記事を掲載します。


今回は2023年4月30日に公演「まざー、るぅ。」を控えている演劇ユニット・石ころさんにインタビューをしてきました。

 演劇ユニット・石ころ 

2020年結成、宗像幸佑と井上みことによる2人組演劇ユニット。日常に落っこちているもやもやを拾って、演劇にする。脚本・演出を井上が担い、宗像は役者。結成から本公演までに、それぞれが外部団体へ精力的に参加し、満を持して(?!)石ころとしての公演をうつ。 今回は、宗像さんの出身校の後輩・高校生のヤギくんを役者にむかえ、春、ユニットがころころところがりはじめます。


今回の公演のポイント、教えてください!

 ――今回の公演のみどころや意気込みを教えてください。 

(宗像)さっき来るとき車の中で(みどころの説明の)練習をしてきたんです……。父と子が…母に関する…ね。(笑っている宗像さん) 

(井上)ね。(それを引き継いで)今回のお話は、父と息子の母にまつわるお話です。(母親役は出てこないのですが、)母という存在に依存しているという。父と子は血がつながっていなくて、お互いに気を使いあいながら生活しているというなかで、父が嘘をついてしまう。そこから、母に対しての2人の思いやすれ違いだったりが生まれるというお話です。 嘘をつくので、お父さんが言っていることと現実で起こっていることに差が出てしまう、と。そこがおもしろいところなのかな。

 ――なるほど、脚本の妙ですね! 

 (井上)台本上の会話のせりふを読んだだけでは、お父さんが嘘をついているのかいないのか、またその嘘や事実を息子がどうとらえたかというのはわからないのですが、演出として舞台上の役者の表情、目線だったり体の向きだったり、動き一つ一つで伝わるようにがんばっています。 そこがみどころじゃないかなと思います。 

 ――チラシにも「お母さんは死んでないんじゃないか」「嘘をつく父」「息子が何か隠している」という前情報があり、それをお客さんは知りつつも、観劇することによって、登場人物がそれをどう捉えているのか、考えながらみたりして楽しめるわけですね。

 ――井上さんが脚本・演出をされているわけですが、脚本はやりながら変えたりとかはあるんでしょうか。 

 (井上)脚本を書くスタートとして、私が日常でひろった、もやっとしたことを脚本に落とし込んで書いています。なので、稽古しながらの変更については、私の日常のなかで情報がインプットされたり、アップデートされたりしたことによって脚本にも追加したり、という ことがあります。 

 ――実は演劇ユニット・石ころとして、しっかり演劇公演をやるのは、はじめてですよね。 

 (宗像)いやあ、やっとです。3年沈黙をつらぬいてきましたが。 

(井上)でも今更旗揚げ公演とは言わないけどね。

 ――それぞれにお聞きします、まずは宗像さん。役者として大切にしていることとか、気を付けていることはありますか。 

 (宗像)今回の公演は、細かい動きや動作なんかを丁寧にやろうと心がけています。日常でも人間観察が好きでよく人を見ているんですが、今、この人はこう考えてるから何気ない仕草でこういう動きが出るんだなとか、そういうのを吸収してきて舞台上に出すということを活かしたいですね。こまやかなところでお客さんに伝わればいいな。 

 (井上)そういう部分が、今回の脚本上だけでは伝わらない「嘘か嘘じゃないかのやりとり」の表現につながってるよね。すごく重要。


 ――井上さんは、脚本・演出として大切にしていること、気を付けていることはありますか。 

 (井上)脚本を書く時に、先ほど言ったもやっとした事柄やテーマを提示するわけなんですが、でも、それについて最終的に自分の答えを押し付けたくはないなって。 お客さん自身に考えてもらって、一案として提示したりはするけどそれ以外に考える余白を残しておくことには気を配っています。 例えば、ストーリーとしても、結局息子が選択したことがいいのか悪いのか、お客さんが考えてもらったらいいし、決めないようにしています。 今回の脚本も最後は答えを出していないです。


ユニット結成とこれからめざすもの

 ――演劇ユニット・石ころを結成したきっかけは? 

 (井上)私のバイト先に、正社員で宗像が入社してきて、高校演劇やってたって聞いたのでちょうどいいやんって。ちょうど自分で主宰して演劇をやりたいなと思っていたので誘いました。(当時井上さんは大学生) 

(宗像)僕も何かやりたいなって思ってたので、お互いに利用したってことですかね。つかまりました。(笑) 

 ――石ころとして目指しているところは? 

 (井上)今思っているのは、2人ともが高校演劇がベースにありつつ、社会人として演劇をやっているっていうのが特徴だと思うので、高校生とのつながりとして、谷木君がきてくれたことがとてもうれしくて、そういうのをきっかけに大切にしていきたいなって。 私がそうだったんですが、高校を卒業して、地元・山口から出たくないけど演劇を続けたいと思っている高校生たちの一つの選択肢としての受け皿になればな、と思っています。


 ――かっこいい! 

――演劇ユニットとしては、誰かほかの方と組みつつということですね。 

 (井上)そうですね。2人とか3人芝居とか。継続していきたいですね。 

 ――おふたりは演劇のどういった点が好きで続けているんでしょうか。 

 (宗像)僕は役者志向ですが、やっぱり自分と違うものになれるのは楽しいなって感じます。普段の宗像として居る自分とは違うものに手をのばせるというか。夢に簡単に手がのばせるような気がして…… 

 ――かっこいい! 

 (宗像)夢に……簡単に手が伸ばせるような気がして……(いい声) 

(井上)(笑)私はちょっと、ダウナーな理由なのですが…… 日常で、あんまり自分の気持ちを言葉にするタイプではないので、そういうのを表明しながらコミュニケーションとるのが得意ではないのですが、演劇だったらそれを表現・発散できるから。それしかない気がしています。 


日をあらためて、ヤギくんへの質問や高校演劇と社会人演劇(商業演劇)についても話がもりあがりました。>>それでは後半は後日!

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えんげき屋 山口店

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