11/27 イフクキョウコソロダンス『Nr.1+4+6+2』、「ダンスを見て話そう」report

2022年11月27日(日)19:00~ スタジオイマイチにて

イフクキョウコさんによる、ソロダンスプロジェクトのパフォーマンスを見てきました。

今回はえんげき屋店員としてではなく、一観客として参加しましたので、その感想を・・・と思いましたが、まずはプロジェクトの概要をお伝えします。


イフクキョウコさんのソロダンスプロジェクトとは、音楽家・内橋和久さんのCD「flect」に収録されている全10曲に振り付けを行うもの。2007年にスタートし、今回でついにラストを迎えました。


さて、簡単な概要説明はここまでとして・・・。ここからは感想を述べていきます。

まず、会場はどこに座ってもいいと言う、斬新な環境構成が設定されていました。会場は不織布の幕が2枚、天井から一定間隔で吊されており、至ってシンプルなもの。

黒のワンピースに、黒の靴下・・・衣装もシンプルな物を身に着けたダンサーのイフクさんが幕をたくし上げ、その下に寝そべり、暗転へと変わっていくところからダンススタート。長ーい暗転の中、意図的なのか無意識なのか分からない息遣いが聞こえ、目が慣れた頃には寝そべっていたはずのイフクさんが近くで立っていたことに驚きを隠せませんでした。

意図的な息遣いと、意識して作られたような無表情の中、踊り続けるイフクさん。どこかの部屋から出られないような、上手く表現できないことにもどかしさを感じているような、そんな苦痛を振りが激しくなる場面で私は感じました(もちろん、これは私個人の感想・解釈です)。また、ダンスというのは『笑ったり、一生懸命な表情で踊るもの』と思っていた節があったので、息遣いや無表情さをダンスの表現の一つとして取り入れてもいいと言うことを教えてもらうことができました。

途中、幕を使って壁のような表現をされた時、幕がないところにも幕があるように見えたのは素敵でした。また、照明を使って幕に影を投影し、スクリーンのようにきれいな影と幕の向こうで踊るイフクさん、幕から影が切れた瞬間に床に映る影の儚さ・・・個人的に私はダンスの中でこの部分が一番好きでした。

そして、緩急の付け方。突然激しくなると思えば、ピタッと踊りがなくなる様子は、私の中では新鮮さを感じました。

最後は、今までの踊りが夢だったかのように、踊りをやめて、パフォーマンスは終了。

約15分間もダンスを踊っていたと知った時は驚きました。



パフォーマンスが終わった後は、イマイチ番地 対話/雑談プログラム「ダンスを見て話そう」の始まりです。このプログラムの概要は、以前記事を書いていますので、そちらをご覧下さい。

参加者は、観客15名とスタッフ3名。プログラムを楽しむための条件として、イフクさんから今回のダンスの振りの意味などは、一切語らないとのことでした。

お客さんの感想は様々。宇宙と交信しているみたい、幕があることでセクシーに見えた、意志があるはずなのに何を考えているか分からなかった・・・など笑いありの雑談でした。

私はイフクさんの無表情加減がずっと気になって見ていましたが、お客さんの中には、目を合わせられない、見てはいけないと思った、近付くことで圧を感じて怖かった・・・と言う逆の意見も。人の感性は、本当に様々だと感じました。

特に印象に残った感想は、「見ている自分も、踊っているイフクさんも『生きている』と実感することができた」というものでした。ワンピースに靴下、間近で見ることで感じることができた息遣いと乱れた髪や汗・・・そういう物がよりリアルに感じられた、と言うことでした。ダンサーに着目した、とても印象深い感想でした。

感想は尽きることなく、あっという間に40分は過ぎました。

ダンス経験があまりない私。はじめは素人が来て場違いだったかな・・・と不安でした。しかし、イフクさんがリアルだと感じたと言う意見がある中で、私はお客さんが思った以上に現実味のある感想だったことに驚きました。そう思ったのは共感できる感想が多かったからかもしれません。イフクさんの美しいダンス、それを見た率直な思いは間違っていることはないと、それこそある意味『生きている』と実感することができるパフォーマンス、プログラムでした。

記事:店員 村田

えんげき屋 山口店

山口の旬の演劇を売り出すべく「えんげき」を商品にみたて、公演情報を収集し、応援。地域・県内外のみなさまに発信。愛されるおみせを目指してゆるゆると、そして突発的に活動していきます。

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